今年で13回目を迎えた靖国神社奉納夜桜能。
観世流56世梅若六郎と、日本伝統文化交流会の子どもたちが舞台に立った。


山伏 前シテ 梅若六郎 牛若丸を演ずる小田切亮磨君


 2004年4月6日より3日間、満開の夜桜のもと宝生流、観世流、和泉流の重要無形文化財保持者、若手狂言師野村萬斎らが集い九段の靖国神社で夜桜能が開かれました。

 シテ梅若六郎の『鞍馬天狗』に登場する子方(天皇や貴人を神聖して子どもが演ずる役)として、2歳から10歳までの子どもたちが参加。月光に舞い散る夜桜の中、観客1300人を前にし、舞台に立ちました。

 『鞍馬天狗』とは、鞍馬山で満開になった桜を楽しんでいる僧と稚児の中に見慣れぬ山伏が来て花見の邪魔をしますが、実はこの山伏、平家一族の中で肩身をせまくしている牛若丸に平家討伐のため兵法の秘術を授けに来た鞍馬山の大天狗だったのです。

 稚児の牛若丸に兵法を教えた大天狗は、行く末の武運を守ることを約束して消える……というお話です。能の家に生まれた子どもが初舞台を務めることの多い演目であり、子方のために装束の着付けを手伝う先生方の中には、かつての自分の姿を見るような懐かしさが溢れ、ほほえましい情景でした。

 能の舞台には「橋掛かり」という舞台があり、そこには現実から夢の世界へ通じる道という意味も含まれています。華麗な唐織の装束に身を包み、やや緊張気味の面持ちで、子どもたちがその「橋掛かり」に登場。

 愛くるしいその姿に会場からのどよめきが起り、その反応にびっくりして泣き出す子方もいましたが、舞台の上で舞うその姿には師匠への憧れ、負けん気があふれており子方としてとても立派に務めていました。


お能の装束に身を包んだ子どもたち




 室町時代、大和猿楽系の座として栄えた観世流の一派であり、1300年以上の時間を越え今日に至る家系の56世。2003年12月、NHK「課外授業ようこそ先輩」に出演。母校私立暁星学園で能の心を伝えた。


( 本誌 「 ぼらんた〜る 」 Vol.7 にて掲載 )

03-5330-5323 (担当:スタッフ)
03-3363-6882
office@noh-umewaka.com
http://www.noh-umewaka.com
〒164-0003 東京都中野区東中野2-6-14