日本の「MIZU」

2008年6月25日東京都江東区・清澄庭園「大正館」では『平成の名水百選』として選ばれた都道府県市への認定書交付式が行われました。
湧水地として選ばれた、福井県大野市糸魚町の本願清水(ほんがんしょうず)にはきれいな水に住む「イトヨ」という淡水魚が生息しています。“水の安心まちづくり”日本人が水を大切に使っていたという原風景が、福井県大野市にはあります。


平成の名水百選を味わう鴨下一郎 環境大臣
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9797
(画像提供:環境省)

■本願清水(ほんがんしょうず)

大野市の代表的な湧水地は、8ヶ所(本願清水、御清水、中野清水、お馬屋清水、こせき清水、新堀清水、義景清水ふくべ清水)。本願清水は、陸封型(淡水型)のイトヨが生息する日本の南限にあることなどから、昭和9年5月に「本願清水イトヨ生息地」として国の天然記念物に指定されています。イトヨは全長8cmほどの淡水魚。水温20度以下のきれいな水でしか生息できず、絶滅のおそれがあるとして、環境省より絶滅危惧種に指定されています。


大野盆地の地下は「地下ダム型帯水盆」という構造になっています。大野市では、昭和30年代ごろまでは、わずかな、くぼ地にでも水が湧き出す所が数多くありました。

参考資料(PDFファイル)

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■イトヨを守ることは、大野の水を守ること

昭和30年代に始まった清滝川(きよたきがわ)流域での開墾と圃場(注1)整備に伴う乾田化、市街地化の進展などにより、昭和40年代以降、湧水量が著しく減少しました。地元保存会や市では、池の改修や地下水の供給、青藻除去などさまざまな対策を講じることになりました。
(*注1 圃場(ほじょう):はたけ。菜園)

キャラクター作戦 by 大野市青年会議所


平成6年、イトヨのキャラクターを全国から募集し「イトヨのシンちゃん」と決定。平成7年、まぼろしのさかな『イトヨのシンちゃん』の絵本を発刊。ストーリーは青年会議所の組織である地域創造委員会が作り、原画は県立大野高校美術部が担当しました。

平成8年には、イトヨのイメージソング「こどもたちへの手紙」も発表しました。「こどもたちへの手紙」は一般公募で選ばれました。大野市在住の前川博志氏が作詞、常見コウヘイ作曲、監修は、大野青年会議所のふるさと環境委員会・後援大野市教育委員会です。

イトヨを知ることは、水の大切さを知ること by 大野市役所


大野市は平成8年、庁舎ロビーにイトヨの大型水槽を設置しました。市民の方々は、いつでもイトヨに目に触れるようになり、関心を集めました。水槽の高さは、95m、幅120m、奥行138mと、かなり大きなものです。水槽の管理は大野市文化課の職員がしておりますが、年1回石川県の業者が清掃に入ります。

イトヨを愛すること=郷土を愛すること by 大野イトヨの会


イトヨに関する団体や個人が集結し、イトヨを守ることを通して、住みよい環境づくりを推進することを目的とし「大野イトヨの会」が平成8年に設立されました。大野イトヨの会の会員数は約150人、現在の3代目の会長は、室谷勝乃さんです。イトヨの里の事業のサポートや保護啓発活動などを行っています。

平成17年、豪雪期で木のえさを取れなくなったサギやカワウなどの鳥により、本願清水のイトヨが大多数被害に遭ったため、昨年より降雪前にイトヨを鳥害から守るために、本願清水の防鳥ネット・テグス張りを行うようになりました。

郷土愛〜人々のエネルギーは、改装事業へとつながった


多くの市民によっていろいろな活動をしましたが、依然として、イトヨ生息地としての水量や水質などの環境条件を十分保全できない大野市でした。そこで、文化庁と県の補助を受け、抜本的な改修を平成10年度から3カ年計画で行うことになりました。

■イトヨの里からのメッセージ〜自然環境水の大切さ〜

本願清水は、天然記念物イトヨの生息地としての改修事業が始まりました。この改修工事は本願清水および周辺一帯を水環境・自然環境教育や生涯学習推進の拠点として、市内外の人々に活用していただくため、学習・研究施設「本願清水イトヨの里」として平成13年7月14日開館しました。イトヨの里は、イトヨを地域固有の貴重な財産と考え、「郷土の宝であるイトヨと共に生きる」ことを日常生活の意識の中に育てて、天然記念物本願清水イトヨ生息地の保護育成と利活用を行うことを目的に整備されています。


本願清水イトヨの里
http://www.city.ono.fukui.jp/web_ono/data03/49itoyo/


市職員も常駐していますが、イトヨの里をサポートする市民団体、住民も清掃活動、保全活動など継続してくれています。現在、本願清水に生息しているイトヨは5〜6000匹で、整備する前の3倍になりました。

イトヨ学習室はこちら

■平成の名水として認定を受けた〜本願清水〜

平成の名水百選の選定基準である地域に大切にされているなどの評価から、本願清水が、平成の名水百選に選ばれました。岡田高大 大野市長は2008年6月25日に行われた環境省主催である平成の名水百選の認定書交付式に臨みました。


■自然・人・産業が元気!「越前おおの元気プラン」

今、何をするべきか。大野市では、行財政の改革を進めています。水の環境を保全することは自然が元気になり、住む人々にも元気が出ます。その元気のパワーは産業にもつながります。市民・団体・行政・企業のそれぞれに求められることは、行政上の前例化および規範作成や、地域住民・企業の意識啓発・継続的参加という3つの視点交流が大切です。大野市では、3つの合意形成の場を提供することも必要であると考えています。

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